この記事では、薔薇王の葬列 :完結?最終回、ネタバレを含む最後のラストシーンの結末!|ファンが徹底考察!?をご紹介しております。
2013年から2022年にかけて月刊プリンセスにて連載されました。外伝、スピンオフなどは以降も描かれていますが、本編は、2022年発売のコミックス17巻をもって完結しています。
薔薇王の葬列 とは
『薔薇王の葬列』(ばらおうのそうれつ)は、菅野文による歴史とファンタジーが融合した漫画作品です。
シェイクスピアの史劇『ヘンリー六世』と『リチャード三世』を基にし、白薔薇のヨーク家と赤薔薇のランカスター家が王位を巡って戦う「薔薇戦争」を描いています。
主人公リチャード三世は、両性具有として描かれ、その存在や内面の葛藤が物語の核になっています。特に自分の性別や立場に悩みながらも、力を求めて進んでいくリチャードの姿は、たかねぎも共感を覚えました。
この物語は2013年から2022年まで『月刊プリンセス』で連載され、多くの読者に支持されてきました。さらに、スピンオフ作品やテレビアニメ、舞台化など、さまざまなメディアミックス展開もされています。累計発行部数は180万部を突破しており、その人気の高さがうかがえます。
リチャード三世を主人公にしたこの作品は、ただの歴史物ではなく、複雑な人間関係や深い心理描写が特徴です。戦争だけでなく、愛憎や裏切りが絡み合う展開が多く、読者は登場人物たちの思いに引き込まれます。たかねぎもリチャードの苦悩や彼を取り巻く人々の姿に心を揺さぶられたひとりです。
物語の展開が進むにつれて、リチャードがどのように自分の運命に立ち向かうのか、読者は目が離せません。
薔薇王の葬列 :完結しているか?をご紹介
この作品は、菅野文氏による歴史ファンタジー漫画です。シェイクスピアの『ヘンリー6世』と『リチャード3世』の世界がベースとなっています。
史実としては、白薔薇のヨーク家と赤薔薇のランカスター家によるイングランドの王位をめぐる『薔薇戦争』が作品の世界に当たります。
ただでさえ複雑に血統が入り組み、利害関係が刻一刻とめまぐるしく変わる時代背景ですが、とても緻密な取材と研究の元、リチャード3世を両性具有の人物として主役に据えた事で、より人間ドラマとしての感情表現が深くなり、ただの時代ファンタジーでは終わらない、壮大な愛のドラマとしての見応えも十分に持つ作品です。
2013年から2022年にかけて月刊プリンセスにて連載されました。外伝、スピンオフなどは以降も描かれていますが、本編は、2022年発売のコミックス17巻をもって完結しています。
薔薇王の葬列 :完結?ネタバレを含むあらすじ・見どころをご紹介
かのシェイクスピアが醜悪不具と称したヨーク公の三男・リチャードを両性具有の人物としたことで、男性性による戦と政治の中での苦しみ、女性性による愛と情に翻弄される苦しみ、その両極に揺さぶられる姿が生々しく描かれます。
父を王位に就けるべく勇猛に戦いますが、ランカスター家に破れた父は囚われ、処刑されます。その戦いの中、リチャードは羊飼いに会って安らぎを見出し、自身の中の女を初めて意識します。
しかしその人物こそがヘンリー6世であったのです。やがてランカスター家を破り、兄・エドワードが王位に就きます。囚われたヘンリーにリチャードは自身の秘密を打ち明けますが、拒絶され、ヘンリーを刺してしまいます。
その後も、権力抗争の中で何度もリチャードの正体を暴こうとする輩が現れます。キングメーカーとしてリチャードをやがて王位に就けるバッキンガムもその一人です。しかし二人はやがて半身のように互いを曝け出し、依存し、愛します。
バッキンガムもまた、リチャードの王位を安寧にする為に我が身を犠牲にするかのように裏切ります。結婚した妻との間の養子も廃嫡し、リチャードの理解者であった妻も病死し、リチャードを愛してくれる人、彼が愛した人、皆去っていきます。
やがてランカスター派の生き残りであるリッチモンドが反乱を起こし、リチャードは追い詰められますが、絶体絶命の場面で、かつてのヘンリー(記憶を失っていた)が影武者となって身代わりに討たれ、瀕死のところを従者に助けられ、リチャードは戦場から逃れていくのでした。
薔薇王の葬列 :完結?最終巻(漫画)のネタバレを含むストーリーをご紹介
リッチモンドとの最終決戦、ボズワースの戦いが始まります。ランカスターの生き残りであるリッチモンドは、前王の娘ベスを王妃に、王位の正当性を主張した上で、薔薇戦争を終わりにしようと貴族らの前で主張し、着々と手を打っていきます。
雄々しく戦い、魔人のごとく黒馬に乗って戦うリチャードですが、五分の兵力から古参の裏切りが相次ぎ、勝つ見込みのないところまで追い詰められます。一方のリッチモンドはリチャードの首を上げよと、兵をけしかけます。
その中で一人、リチャードが白い馬に跨っていると偽情報を進言した者がいました。
ティレルという人物ですが、実は記憶を失ったヘンリーであり、かつてリチャードと心を分かち合った無二の友と同一人物……とまでは作中で明言されてはいませんが、セリフを解釈すると、おそらくかつてのヘンリーであり、彼はリチャードがバッキンガムに与えた王の指輪を嵌め、偽情報通りに白い馬に跨って、リチャードとして兵に討たれていきます。
それまでリチャードの体の秘密を知りながら影のように仕えてきたケイツビーは、負傷したリチャードを戦場から引き離します。そして、死なせないと誓いながら、彼をしっかり膝に抱いて馬を駆るのでした。
薔薇王の葬列 :完結?最終回(アニメ)のネタバレを含むストーリーをご紹介
リチャードを守る為に裏切り、成敗されたバッキンガムの真情を理解しつつも、王冠以外の全てを失ったかに見えたリチャード。ティレルに導かれ、友情を約束し、来し方に思いを馳せます。
やがて、幼い頃から守り付き従ってきたケイツビーに生きることを望まれながらも、ボズワースの戦いに臨みます。出陣に際し、リチャードを疎み憎んできた母セシリーと言葉を交わし、別れを告げて出陣するリチャード。母もまた、犠牲者であった事を知ります。
体勢は始めこそ五分五分ながら、ノーサンバランド伯の裏切りを始め、瞬く間に戦況は悪化し、味方の貴族達は次々に赤薔薇の旗を掲げて襲いかかってきます。
しかしその中でティレルは、リチャードは白馬に乗っていると偽情報を流し、リチャードの身代わりとなって討たれていきます。瀕死のリチャードを抱えて戦場から離脱するケイツビー。
全てを失ったリチャードに最後に残ったのは、衷心から彼に仕え、また彼を心から愛する従者でした。そして、ケイツビーの膝の上、馬に揺られながら、少しだけ美しい夢の中で眠りたいと目を閉じるところで物語は終わるのです。
薔薇王の葬列 :最終回、ネタバレ①薔薇王の葬列のリチャードの本当の父親は誰ですか?をご紹介
リチャードの父親は、ヨーク公リチャードであり、妻セシリーとの間に生まれたということになっています。セシリーは夫を心から愛し、崇拝し、王位に相応しいと考えています。
史実でもセシリーは13人の子供を産んでいます。しかし両性具有で生まれた子を『悪魔の子』と疎み、リチャードの心を深く傷つけ、棘となって苦しめ続けることとなります。セシリーとは対照的に、リチャードは父リチャードを深く敬愛し、父リチャードもまた、自分の名を授けてまっすぐな愛情を注ぎます。
故に、リチャードは兄を超えるほどの武術・学問を納め、いつか王位に就いた父を支える為に励み続けたのです。しかし、その母親からの棘の理由は、ボズワースの戦いに赴く前、セシリー自身の口から戦時中に辱めを受けて授かったのがリチャードだったと告白されます。
しかしこの解釈には諸説あります。当時の世相では不具(両性具有含め)というのは家の存続や王位にも影響し、恥として葬られることがあったことも一つに挙げられます。
また、確かに乱暴されて授かったと言いますが、多産でもあったので、夫リチャードとの子であった可能性も否定はできないのです。しかし美しく威容に優れた夫の子とは思いたくない、との思いもあったのかもしれません。
作中では父親の存在は明言されていませんが、リチャードは『母もまた犠牲者』と、理解を示すことで母を許し、本当の意味で母の呪縛から解放されたのかもしれません。
薔薇王の葬列 :最終回、ネタバレ②薔薇王の葬列のリチャードの正体は?
ヨーク公リチャードの3男(史実では8男)として生を受けます。
しかしながら体は両性具有で、男性器と乳房を持ち、男性の姿で戦さ場に立てば勇壮に戦いますが、女装をすると女にしか見えません。
その特性を生かして囚われた兄を助けたこともあります。
この秘密は、リチャードを忌み嫌う母セシリーと従者ケイツビー、後にキングメーカーとして彼を支えるバッキンガムなど、限られた人物しか知り得ません。
誰にも愛されない、そう鬱屈した思いを抱え、誰とも心を開かずに父と兄を支えます。
幻覚の中に現れるジャンヌ・ダルクに真実の心を見透かされながらも、男としても女としても自由に愛を得る人生を選ぶことはありませんでした。
シェイクスピアのリチャード3世は醜悪不具となっていますが、実際のリチャード三世の遺骨からのゲノム解析でも、せむしであった可能性が分かっています。
ランカスター朝最後の王だけに、後のチューダー朝によってその人物像は貶められたとされ、現在は名誉回復に動く歴史家も存在するほどです。
薔薇王の葬列 :最終回、ネタバレ③薔薇王の葬列のリチャードの性別は?をご紹介
男であり、女であります。完全なる両性具有で、男性の特徴も女性の特徴も兼ね備えています。
しかしリチャード自身は王の息子たれと、武術に励み、勇壮な武人として鍛錬を積みます。
また、政治的な手腕にも長けていますが、王位を継いでからというもの、度重なる裏切り、粛清に心を蝕まれ、女として心の支えを欲する様子も見られます。
キングメーカーとして寄り添うバッキンガムには全てを晒し、女としての愛され方も知ることとなります。
悪魔の子、両性具有によってそう実母に蔑まれ続けたリチャードにとって、この体は武器でも利点でもなく、苦しみでしかなかったのでした。
しかし、バッキンガムとの身を預け合う愛、ヘンリーとの真摯な愛と友情を経て、王位と引き換えに全てを失ったことで、ようやく最後にはありのままの自分を受け入れることができるようになるのです。
薔薇王の葬列 :最終回、ネタバレ④薔薇王の葬列のエドワードは誰の子ですか?をご紹介
リチャードの后・アンは、元々ヘンリー6世の継嗣であるエドワード・オブ・ウェストミンスターの妻でした。
父ウォリック伯は元々はヘンリー6世を支持し、継嗣エドワードに長女のアンを嫁がせていましたが、ヘンリーが錯乱して王后に実権が傾くと、義理の叔父であるヨーク家のリチャードに協力をし、エドワード4世を即位させます。
アンは既に前夫の子供を身ごもっており、身分がバレることを恐れて実家で馬丁として働いているところをリチャードに見出されます。
両性具有のリチャードと夫婦生活はないながらも、生まれたエドワードを愛し、エドワードもリチャードに懐きます。
更なる二人の子を望む声が高まる中、エドワードはその出生を利用され、燻るランカスター派の政局の道具にされそうになり、既に病魔に侵されていたアンは廃嫡を望みます。
命を助けるため、急死したことにして城からそっと逃したリチャード。夫婦として分かち合えなくとも、子を守る同志として不思議な友情で結ばれたアンの最後の願いを聞き入れたのでした。
薔薇王の葬列 :最終回、ネタバレ⑤薔薇王の葬列のティレルの正体?をご紹介
明確な答えは作中に提示されてはいません。
おそらく、ヘンリー6世なのでは、というのが大方のファンの見方と言えます。
ヘンリー6世は、リチャードの父に王位を追われ継承権を自分の息子から剥奪されてしまいます。
しかし絶対権力者の妻に頭が上がらず、女性不信になるほどに妻に圧倒されます。
故に、羊飼いになることを望み、森で静かに暮らすことを望んだのでした。
リチャードはヘンリー6世とは知らずに交誼を重ね、やがて女としての恋愛感情に気付くのですが、ヘンリーがヨーク家に破れて囚われた時、リチャードが自身の秘密を暴露した途端に錯乱します。
妻を通して女性性に強い嫌悪感を抱いていた故ですが、リチャードは拒絶と受け取り、刺してしまいます。しかし、ヘンリーの棺として外に出されたその遺体については明言を避け、顔を改めようとするアンにも言葉を濁しています。
時を経て、ティレルという、ヘンリーに生き写しながら暗殺能力に長けた人物が現れ、リチャードに盲目的に仕えます。
ティレルは記憶を失っているようですが、眠るリチャードに囁く言葉などは、ヘンリーであることの自白のようにも解釈できるのです。
そしてボズワースの戦いで、身代わりを演じ、喜んで命を捧げてリチャードを逃すのでした。
薔薇王の葬列 :完結?最終回(漫画・アニメ)・結末のファンの感想・考察をご紹介
ラスト、リチャードは従者ケイツビーに抱かれて戦場を離れます。
生きていて欲しい、ひたむきな愛で支え続けてきたケイツビーと幸せに生き延びて欲しい!! 祈る気持ちでページを閉じたファンも多かったことでしょう。
全編を通して、リチャード自身の不遇からくる苦しさ、悲しさ、束の間の安らぎや愛も残酷に奪われていく様子は、絵の美しさ以上に心に深く刺さるものがありました。
シェイクスピアの悲劇ながら、史実でもあり、実際にこんな陰惨で悲しい歴史があったことに愕然とするファンもいたことと思います。現在は遺骸が研究され、脳への深い一撃でほぼ意識を失い、他の多数の傷によって失血死した可能性があることがわかってきています。
敗戦の王ですので、当時の慣習として裸に剥かれて晒された形跡もあり、両足も切断されていたようです。
或いはそんな屈辱を味あわせないために、ケイツビーは既に虫の息のリチャードを戦場から離脱させたとも考えられるのですが……何とか一命を拾って、権力や地位に汚れていないケイツビーと、今までの苦労を払拭するほどの幸せな時間を過ごして欲しいとファンなら切望するでしょう。
そしてそんな切実な願いを叶えるかのような、答えを明確に告げない終わり方……心憎くも、作品を忘れられなくなってしまう『罪深い』ラストシーンに他なりません。